鼻つまりとアルゴンプラズマ療法について

        2010年2月 初めてアップ

        2018年1月 内容を見直し更新

はじめに

私は 小さな時から鼻が悪いので 鼻つまりの苦しさはよーく知っています。

自分の鼻をよくできないかわりに 手術で患者さんが楽になっていただけることが 楽しみになっております。

そんなとき 耳鼻科の仕事は 天職だなあ、と 感じることがよくあります。

ここでは 鼻つまりの治療  主に アルゴンプラズマ療法について 解説しております。

最近 改めて取り組み始めている

内視鏡下の 鼻中隔矯正 および 下鼻甲介減量手術についても 

実際の手術症例写真を使って 内容(コンテンツ)を追加してゆきたいと考えております。

下記は鼻つまりの原因と治療方法をまとめた表です。

はなつまりの原因 治療方法と特徴
下鼻甲介の腫脹 アレルギー 
市販の点鼻薬の使いすぎ
クスリ 抗アレルギー剤
ステロイド点鼻薬  など
クスリが切れるともとにもどるため
ずっと使い続けなければならない
効果不十分な場合あり
手術 下甲介粘膜焼灼術
(アルゴンプラズマ レーザー
短時間でできる
一年は効果持続が期待できる?
下鼻甲介減量手術   根治をめざせる 
鼻中隔わん曲  鼻中隔の骨と軟骨の変形
鼻の成長にともない生じる
まっすぐな人はめずらしい
鼻中隔矯正術 根治をめざせる
下鼻甲介減量手術と同時施行が多い
鼻茸(ポリープ) アレルギー素因の強い副鼻腔炎 鼻茸摘出術 短時間でできるひとまずの手術
内視鏡下副鼻腔手術 根治をめざす本格的手術


アルゴンプラズマ療法は 下鼻甲介粘膜の表面を 熱で焼灼します。

    アルゴンプラズマ療法 施行前後の鼻内 と 装置

         


適応と適応外について

適応

    下甲介の腫脹が鼻つまりの原因である方で

    慢性の鼻つまりに苦しみ、クスリで十分な満足を得られない方

    クスリの使用を減らしたい方

適応外
    
    局所麻酔薬がダメな方

    ペースメーカーを入れている方(身体に微弱電流がながれるため)

    鼻中隔わん曲が強い方
    (プローブが入らない可能性があります 鼻中隔矯正術をおすすめしております)

    鼻茸のある方(鼻茸摘出または内視鏡下副鼻腔手術をおすすめしております)



治療費用について

  アルゴンプラズマ(下甲介粘膜焼灼術) 900点×2=1800点 

  3割負担のかたは 5400円です

  これに初診料または再診料 内視鏡検査 処方料が加わります。

  アレルギーのクスリは結構高価ですので、

  一年中ずっとクスリで治療を続けることを考慮するとかなりリーズナブルと思います。



実際の例を示します。

当院で初めてアルゴンプラズマ療法を受けた私の娘

(私からの遺伝によるアレルギー症状に苦しんでいました)のCTと内視鏡所見です

内視鏡で 左右の下鼻甲介が白く腫れているのがわかります。

       鼻中隔が右側に軽くわん曲しているのもわかります。

CTでは 副鼻腔に陰影(病変)がないことがわかります。

手術の動画です

プローブの先端からプラズマ化させたアルゴンガスを出し

これに高周波電流を流して、下甲介粘膜表面を熱変性させます。



麻酔は麻酔薬と血管収縮剤を浸した麻酔ガーゼを 鼻内に60分以上留置します。

対極板を腕に張ります。

手術時間は片側数分 両側で15分以内に終わります。


手術直後と術後2週間の内視鏡所見です。



熱変性(簡単に言うと焼けど)で 下鼻甲介粘膜が脱落してきているのがわかります。

約2週間 やけどの病変(ゼリー状物 や かさぶた)が付着するため、一時的に鼻つまりがひどくなります。

術後二週間目に受診していただき 鼻内を清掃すると 下の写真のように ほぼ仕上がっています。


実際に手術をうけた娘や患者さんの話では 

術後の痛みはごく軽度かほとんどないようです。

術後の鼻つまり程度は個人差があるようです。


術後は ほぼ日常どおりの生活をしていただいて大丈夫と思われますが、

再診まで 過激な運動や多量のアルコール摂取を控えていただくことをお願いしています。

 





医師国保に加入している開業医は、家族に対する自家診療ができません。
ここで提示させていただいた娘の診療に公的医療保険を一切使用しておりません。